日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
Online ISSN : 2433-7854
Print ISSN : 2433-7846
総説
瘢痕性脱毛症と免疫の接点
伊藤 泰介
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ジャーナル 認証あり

2019 年 2 巻 2 号 p. 245-251

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抄録

 瘢痕性脱毛症は, 脱毛症疾患のなかで最も病態理解がむずかしいと思われる。そのため病態に即した治療がなく, 患者も再生不可能な脱毛症状に対して精神的なダメージが大きい。原発性瘢痕性脱毛症は, 病変部に浸潤する免疫細胞によって, リンパ球性, 好中球性, 混合性に分類される。本稿では, これら分類に沿って, 瘢痕性脱毛症のなかでいくつかの疾患について免疫的側面からみた病態理解を試み, 今後の治療開発の方向性を見いだすことを目的とした。そんななか, 円板状エリテマトーデス (DLE) に対してヒドロキシクロロキンが有効性を示すことは画期的である。また毛孔性苔癬はバルジ領域へのリンパ球浸潤によるものであろうことはかなり確かなこととなりつつあり, 今後のさらなる病態解明と治療開発の展開が期待できる。

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© 2019 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
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