2019 年 2 巻 2 号 p. 252-256
遺伝性毛髪疾患は, 円形脱毛症や男性型脱毛症のような多因子疾患と, 基本的に1つの遺伝子の変異によって発症する単一遺伝子疾患に大別される。単一遺伝子疾患は, 毛髪症状のみを呈する非症候性の群と, 症候群の1症状として毛髪症状を呈する症候性の群に分類される。後者の群は200種類以上の異なる疾患から構成されているが, それらのなかの複数の疾患で何らかの免疫異常をきたすことが知られている。免疫異常を伴う遺伝性毛髪疾患の原因遺伝子は, 毛包の発生・分化だけでなく, 免疫系や表皮のバリア機能の維持などにも重要な役割を果たしている。