日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
Online ISSN : 2433-7854
Print ISSN : 2433-7846
総説
アレルギー性接触皮膚炎感作にかかわる自然免疫活性化機構
原 博満
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ジャーナル 認証あり

2019 年 2 巻 2 号 p. 272-280

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抄録

 アレルギー性接触皮膚炎は, ニッケルやコバルトなどの金属や, ハプテンとよばれる感作性化合物に反応するT細胞によって引き起こされる遅延型過敏反応である。T細胞のプライミングには, 抗原 (接触アレルゲン) を提示する樹状細胞 (DC) の自然免疫受容体を介した活性化/成熟が必要であるが, 構造的に多様な感作性化合物がどのような機構でDCを成熟させるのかに関しては不明な点が多かった。われわれは, 感作性化合物の刺激によってDCから分泌されるIL-1シグナルが, ハプテン特異的T細胞のプライミングに重要であることを見いだした。感作性化合物はimmunoreceptor tyrosine-based activation motifs (ITAM) を介してSykを活性化し, SykシグナルはCARD9-BCL10複合体-NF-κB経路を介したPro-IL-1α/βの発現誘導と, 活性酸素産生を介したNLRP3インフラマゾームの活性化を誘導する。これによりDCからIL-1が分泌されることが化合物による接触感作に重要であることが明らかとなった。

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© 2019 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
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