日本慢性看護学会誌
Online ISSN : 2435-7782
Print ISSN : 1882-2061
研究報告
重症アトピー性皮膚炎を経験した患者の症状と生活への支障の体験
─解釈学的現象学に基づいた範例の探究─
藤原 由子
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2020 年 14 巻 2 号 p. 2_45-2_52

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抄録
目的:本研究の目的は,長期にわたり複合的な身体の炎症を経験し,痒みの影響を受けているアトピー性皮膚炎患者の症状と生活への支障の体験について語りを聴き,記述することで解釈的説明を行うことである.
方法:4例の分析を解釈学的現象学に基づいて行い,そこから範例を探究した.本研究はテーマ分析,代表的事例の分析を経て行った最終的な段階としての範例の探究の結果である.
結果:重症アトピー性皮膚炎を経験した患者の症状と生活への支障の体験を探究した結果,「固定化する」という解釈的説明ができた.4つの範例を「固定化する」解釈の顕著な事例として示した.
考察:アトピー性皮膚炎患者は刺激や温度を知覚する『皮膚』と風合いでその存在を感覚する『肌』の2つをもっていることが示唆された.
結論:アトピー性皮膚炎患者が皮膚の外側から徐々に乾き,硬くなっていく炎症の変化を「固定化する」こととして身に付けながら日常を落ち着くことができるように収めていったことは,患者理解への手がかりとなった.
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© 2020 日本慢性看護学会
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