インテリジェンス・マネジメント
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論文
災害復旧における産業廃棄物処理事業者のインテリジェンス活動
~東日本大震災の事例をじて~
吉成 昇大内 東
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2011 年 3 巻 1 号 p. 27-42

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抄録

地震・津波・洪水など大規模な災害においては、ごみ、がれき等、いわゆる災害廃棄物が大量に発生する。災害廃棄物は基本的には市町村(特例により都道府県)が一般廃棄物として処理する。しかしながら、その量が膨大になると市町村のみでは対処しきれず、地元の産業廃棄物処理事業者など、民間の処理事業者の協力が必要になる。東日本大震災において被災地の企業として仙台環境開発株式会社は企業防衛手段の一環として様々な対応策を講じた。本論文では、大震災発生時から約 3 ヶ月間、災害廃棄物処理の災害初動、応急復旧、復旧フェーズまでにおける当社の事業活動をインテリジェンスの観点から分析・整理し、被災地に立地する産廃事業者に必要なインテリジェンスの利活用はいかにあるべきか、どのような技法が有効かなどについて、復旧フェーズにおけるインテリジェンス・サイクルの特徴とともに提言を行うものである。コンペティティブ・インテリジェンス(Competitive Intelligence、以下 CI という)は、ライバル企業あるいはコンペティターに関する情報を収集・分析・評価することでライバル企業などの戦略に対抗するための具体的な方策を実行するための意思決定に資する優れた情報を生成するものであると考える。大震災の最中においてもライバル企業は存在するために、企業としてリスク管理的な守りのインテリジェンス活動と攻めのインテリジェンス活動の両面が必要である。

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© 特定非営利活動法人 日本コンペティティブ・インテリジェンス学会
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