日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第33回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 1-3
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血清IL‐18濃度が診断と治療に有用であったMacrophage Activation Syndrome(MAS)の3症例の検討
*飯塚 進子田中 住明星 健太田中 淳一石川 章遠藤 平仁近藤 啓文
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抄録

【背景および目的】MASは血球貪食症候群を含む、成熟したマクロファージの異常活性に基づく熱性疾患と提唱されている。しかし、MASは成人スチル病と重なる部分も多いため、疾患概念としては未だ確立はしていない。本報告では、当院でMASと考えられた3症例を検討し、その臨床像を解析することを目的とした。【結果】症例1は40歳台女性で、発熱と重篤な肝障害で発症した。症例2は20歳台女性で、発熱、皮疹、肝脾腫で発症した。症例3は10台女性で、高熱と肝脾腫、播種性血管内凝固症候群で発症した。これらの症例では、血清フェリチン、IL-18濃度は異常高値であった。しかし、いずれの症例もスチル病の診断基準を満たさず、EBウイルス感染や悪性腫瘍は認めなかった。全例でステロイドパルス治療が行われ、臨床像の改善とともに、血清フェリチン、IL-18は正常化した。症例2では約3ヵ月後に肝障害を呈し、IL-18は再び増加した。【考察および結語】MASはスチル病や血球貪食症候群と関連する疾患概念だと考えられているが、自験例はいずれも両疾患の診断を満たさなかった。これらの病態は非常に重篤であり、その診断、治療効果の判定に血清IL-18は極めて有用であった。

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© 2005 日本臨床免疫学会
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