日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: SS-2
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免疫疾患のトピックスと将来展望
多発性硬化症:自己免疫病仮説の再検証
*山村 隆荒浪 利昌大木 伸司三宅 幸子
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抄録

多発性硬化症(MS)は代表的な中枢神経脱髄疾患であり、動物モデル実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)や患者サンプルを用いた免疫学的研究、さらにはゲノムワイド関連解析の結果から、病態に中枢神経抗原に対する自己免疫応答が主要な役割を果たしていることは確実である。実際、新たに開発された新薬(Natalizumabなど)の臨床治験の結果は、自己免疫性リンパ球の移動を抑制することによってMSが軽快することを示した。一方、MSは全身性自己免疫疾患と異なり、1型インターフェロンが有効であるという特徴がある。MSにおけるインターフェロンレスポンダーとノン・レスポンダーの違いとして、前者では主にTh1細胞が関与し、後者ではTh17細胞が介在するという意見があるが、まだ充分な検証は進んでいない。本講演では, MSの末梢血T細胞の遺伝子解析、T細胞ケモカインおよびサイトカイン発現パターン、B細胞分画解析など、MS病態の全体像解明とテイラーメイド医療の開発に一歩でも近づこうとする我々の取り組みを紹介する。特にMS末梢血T細胞での発現亢進が確認されているNR4A2分子(Doi et al. PNAS 2008)のTh17病態における役割や、MSにおけるB細胞の役割について、我々の研究室の成績をもとに討議する。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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