日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: SS-1
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免疫疾患のトピックスと将来展望
マウスの免疫学からヒトの免疫学へ
*山本 一彦
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キーワード: ヒト免疫学, 基礎免疫学
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抄録

マウスを中心とした基礎免疫学は急激な進歩を遂げている。免疫学には、未だに分からないことが山積しており、これらを推進することは重要である。しかし、基礎免疫学で見出された多くの事実をヒトの免疫システムの理解と疾病・病態の理解に結びつけ、より理想的な治療法の開発を推進するには、ヒトの免疫を研究するシステムを確立し、マウスからヒトの免疫学へのトランスレーションする研究を推進しなければならない。ヒトの免疫システム全体を理解しないで、マウスで見出されたある局面のみをヒトに応用することは、一点突破主義とも言え、多くの危険をはらんでいる。 免疫学は生物学的な重要性とともに、自己免疫疾患、感染、癌、移植、アレルギーなど多くの疾病が関与する研究領域である。我が国は基礎免疫学の領域では世界をリードする研究者が多い。一方、ヒトの免疫学に関しては、研究者の数を含めて十分とは言えない。 ヒト免疫学を確立し、推進するための幾つかの推進すべき方向性としては、例えば、1)免疫が関係する疾病のゲノム解析と遺伝子発現解析の推進やデータベース化、2)ヒト免疫担当細胞の試験管内の機能解析の推進、3)ヒト化マウスなど新しい研究システムの開発の推進、4)生物学的製剤など新しい治療法とその反応性の解析法の推進、5)研究者に提供する試料バンクの継続的な推進、などが考えられる。

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