抄録
ヒト化抗IL-6受容体抗体トシリズマブは、関節リウマチ、若年性特発性関節炎やキャツスルマン病に対する国産初の抗体医薬として承認されたが、IL-6が発症に関与する他の免疫、炎症性疾患に対しても、画期的な治療薬となる可能性がある。保健医療分野の基礎研究推進事業において、阪大病院免疫アレルギー内科では、難治性の免疫、炎症性疾患に対するトシリズマブの有効性を検証する臨床研究を行っている。現在まで、14疾患、21症例に対する検討を行い、通常の治療法に抵抗したAAアミロイドーシス、再発性多発軟骨炎、強皮症、多発性筋炎、脊椎関節症(反応性関節炎、強直性脊椎炎)、リウマチ性多発筋痛症、RS3PE、ベーチェット病、後天性血友病に有効であることが明らかとなった。AAアミロイドーシスにおいては、3回の投与により腸管に沈着したアミロイド線維は消失し、治療開始後3年以上経過した再発性多発軟骨炎において、寛解状態を維持している。有効な治療法が乏しい強皮症において、抗体治療により皮膚硬化度値は減少した。これらの結果は、IL-6阻害療法が、様々の免疫、炎症性疾患に対する新たな治療手段となる可能性を示唆する。自己免疫疾患動物モデルにおいては、発症に中止的な役割を果たすTh17±Th1/Tregのアンバランスが、抗IL-6受容体抗体により是正されることが報告されているが、今後、ヒトにおける作用機序の解明と、これらの疾患に対する臨床試験~治験での有効性、安全性の評価を要する。