抄録
【目的】SKGマウスは、ヒト関節リウマチに酷似した自己免疫性関節炎を自然発症する。その原因はT細胞シグナル伝達分子であるZAP-70遺伝子の点突然変異であり、その発症機構として、胸腺T細胞選択の異常による免疫自己寛容の破綻が考えられる。今回、Tet-onシステムにより、T細胞に正常ヒトZAP‐70をドキシサイクリン(Doxy)依存性に発現誘導が可能なマウス、TetOn-SKG を確立した。SKG背景のTetOn-SKGマウスは、通常では内在性のSKG型ZAP-70が作用するが、Doxyを与えると、正常ヒトZAP-70とGFPを発現し、TCRシグナル伝達強度を補正する。この系を使用して、SKGマウスのZAP-70発現異常と胸腺選択異常、および自己免疫性関節炎の関係について検討した。
【方法 結果】TetOn-SKGマウスにDoxy入りの餌を3週間与え、GFPhigh およびGFP- CD4SP胸腺細胞 ( 3×105個)をそれぞれRAG2欠損マウスに養子移入した。4ヶ月間のレシピエントの観察でGFPhigh移入群において、関節炎の発症率、重症度は著明に減少した。同様の実験をCD4SPCD25-胸腺細胞で行っても、同様であった。次にDO11.10+TetOn-SKG マウスを作成し、そのCD4SP 胸腺細胞におけるTCRを、DO11.10 TCR特異的抗体(KJ1.26)を用いてレパトアを比較した。その結果、GFP-ではKJ1.26陽性率33%に対し、GFPhighでは90%陽性であり、産生されるT細胞レパトアの変化が確認された。
【結論】以上の結果から、胸腺選択異常によるT細胞レパトアの変化が、SKGマウスにおける関節炎発症に重要と考えられた。