日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: MW-2
会議情報

MWSワークショップ Midwinter Seminar Workshop
毛細血管拡張性小脳失調症(Ataxia Telangiectagia)におけるT細胞分化異常の解析
*磯田 健志高木 正稔森尾 友宏水谷 修紀
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
遺伝性毛細血管拡張性小脳失調症(以下AT)は、ATM遺伝子の変異で生じ、T及び、Bリンパ球減少症、白血病リンパ腫の発症を呈する先天性免疫不全症である。Tリンパ球減少は、VDJ再構成異常から、DP期からSP期への移行不良によるとされ、胸腺リンパ腫は、高率に14番染色体のTCRδ鎖を切断点とする染色体転座を有する。しかし、分化段階のDN期に分化異常、及び発癌のヒットが存在するかは明らかでない。我々は、ATマウスのDN期に、in vivo及びin vitroの分化誘導実験からDN3aからDN3b期への移行不良を確認した。移行不良の原因検索として、ATのLTR-HSCは骨髄移植後、WT胸腺環境でも移行不良を生じ、AT胸腺ストローマが分化不良の原因でないことを確認した。ATM欠損RAG2欠損マウスに抗CD3e抗体を投与すると、DN3からDPへ分化誘導され、分化シグナルに異常は見られなかった。これらより、移行不良の原因は、TCRβ鎖再構成異常であると結論付けられる。さらに、14番染色体転座を分化段階に応じて確認した。DN2-3aでは、転座検出率は低く、DN3b-4では約10%に検出でき、DN3aのVDJ組換え時に染色体転座を生じていることが考えられた。今回の我々の解析で、ATM欠損T細胞のDN3a期は、Tリンパ球減少の原因が存在し、14番染色体転座を生じる発癌のヒットポイントであることが示された。
著者関連情報
© 2011 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top