臨床神経生理学
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特集「臨床に役立つ神経筋電気診断」
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー・多巣性運動ニューロパチー
三澤 園子桑原 聡
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2013 年 41 巻 2 号 p. 112-117

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抄録

慢性炎症性脱髄性多発神経炎 (CIDP)・多巣性運動ニューロパチー (MMN) は代表的な慢性経過をとる後天性免疫介在性脱髄性ニューロパチーである。両疾患とも治療可能であることから積極的に診断していくことが望ましく, そこで神経伝導検査の果たす役割は非常に大きい。脱髄性ニューロパチーの神経伝導検査は閾値の上昇などから最大上刺激を確実にする必要があり, 技術的に難易度が高い。特にMMNでは伝導ブロックが上腕や腕神経叢に限局することがあり, 検出が非常に困難な例も存在する。電気刺激による疼痛を最小限にとどめつつ的確な電気診断を行うためには, 確実な検査手技の実践と臨床症状に基づく検査計画の立案・解釈が必須である。典型的CIDPでは遠位部神経終末と神経根に病変が優位に生じるのに対し, MMNでは神経幹の中間部に多巣性病変が認められる。これらの脱髄病変の分布を理解しておくことは電気診断に有用であり, 逆に病変分布を予想しながら検査を進めることにより検出率を高めることができる。

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© 2013 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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