臨床神経生理学
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41 巻 , 2 号
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総説
  • 尾﨑 勇, 井口 義信, 白石 秀明, 石井 良平, 平田 雅之, 露口 尚弘, 鎌田 恭輔, 渡辺 裕貴, 亀山 茂樹, 橋本 勲
    2013 年 41 巻 2 号 p. 57-70
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    脳磁図の科学的エビデンスは, てんかん以外の疾患において明らかでない。本研究では文献検索に基づき神経内科疾患と神経リハビリテーションの脳磁図臨床研究の動向を調べることを目的とした。MEDLINE にて (amyotrophic lateral sclerosisなど個々の対象疾患名) AND (MEG OR magnetoencephalography) を検索して2011年11月までに発表された論文を抽出した。この中から原著論文をえらび, エビデンスレベル, 抄録内容に基づいて, 神経内科疾患ではALS 3編, Parkinson病8編, 多発性硬化症4編について概要をまとめた。神経リハビリテーションについては虚血性脳血管障害からの回復に関わる研究に焦点を絞り, 運動感覚障害9編, 失語症3編について概要をまとめた。27編のうち診断・治療方針の決定に関するエビデンスレベルはグレード1: 0編, 2: 18編, 3: 3編, 4: 6編, 5: 0編, 6: 0編であった。脳磁図は局所の自発活動を非侵襲的に計測できることから, 少数症例の検討ながら, 複数の領域間の機能的連絡あるいは視床下核などの深部組織の活動と脳局所のコヒーレンスなど, 疾患や回復過程に伴う脳機能変化や疾患固有の病態生理を理解する上で新しい知見をもたらすことがわかった。
  • 木村 友昭, 尾﨑 勇, 湯本 真人, 橋本 勲
    2013 年 41 巻 2 号 p. 71-79
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    体性感覚誘発脳磁場 (somatosensory evoked magnetic fields, SEF) は, さまざまな刺激誘発あるいは事象関連脳磁図の中でも臨床で最も使われている検査法の一つである。誘発脳磁場の刺激方法の標準化は, 将来の診断プロトコル作成のために必要な条件の一つである。そこで, われわれは文献検索に基づきSEF臨床応用における体性感覚刺激の方法と条件について調べることとした。MEDLINE にて2012年7月までに発表された, SEFを取り扱った英語の臨床原著論文を検索式 (magnetoencephalography OR MEG OR magnetic source imaging) AND (somatosensory) で得た後, (presurgical or pathophysiology) で抄録内容に基づき49件の論文に絞り込んでその概要をまとめた。このうち, 電気刺激SEFは30論文, 機械刺激SEFが17論文, 電気刺激と機械刺激の両方によるSEFが2論文であった。電気刺激では, 多くの例で国際臨床神経生理学会の推奨に基づいていた。機械刺激に関しては, 皮膚のϕ10 mm程度の広い領域を圧迫刺激する方法が一般的だがSEF潜時が電気刺激に比べて著しく遅いことから, RA1やRA2線維を効果的に刺激して3b野を活性化するためには, ϕ1~2 mm の狭い領域を鋭い立ち上がり潜時で刺激できるような新技術の開発が望まれる。
特集「脳機能計測法を基礎から学ぶ人のために」事象関連電位
  • 加賀 佳美, 相原 正男
    2013 年 41 巻 2 号 p. 80-85
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    事象関連電位P300は刺激提示後, 潜時約300 ms付近に生じる陽性波で, 刺激に対する比較, 評価, 判断, 選択的注意, 認知文脈の更新に関与しているといわれている。1965年Suttonによって発見され, オドボール課題がP300の測定法としてよく知られている。いわゆるP300は頭皮上Pzで最大振幅が記録され, 刺激の種類, 刺激間隔, 提示数, 頻度, 強度, 類似度で振幅や潜時が変化する。その発生源は大脳皮質説と皮質下説など諸説がある。性差はないという報告もあるが, 女性で振幅が大きく潜時が短いという報告が多い。その年齢変化については, 聴覚P300では年齢とともに潜時が短縮し, 15∼18歳で最短縮年齢に達し, 以後加齢とともに潜時は延長する。視覚P300では, 課題の種類に依存し, 比較的難しい文字の課題では20代後半から30代で最短潜時となる。P300の測定法, 性差, 年齢変化を中心に解説した。
  • 入戸野 宏
    2013 年 41 巻 2 号 p. 86-92
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    事象関連電位のP300波が発見されてから50年近くが経過した。P300の機能的役割についてはいまだ明らかでないが, 惹起される条件はほぼ解明されている。本稿では, まずP300の基礎知識を認知科学の立場から簡潔にまとめる。次に, 医療以外の分野におけるP300の応用例として, プローブ刺激法による注意配分量の推定, 隠匿情報検査による記憶の検出, ブレイン–コンピュータインタフェースについて紹介する。
特集「臨床に役立つ神経筋電気診断」
  • 園生 雅弘
    2013 年 41 巻 2 号 p. 93
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
  • 清水 俊夫
    2013 年 41 巻 2 号 p. 94-102
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の的確な診断のためには, 筋電図および神経伝導検査は必要不可欠である。2008年に, 電気生理学的所見の重要性をより強調した新たな診断基準であるAwaji基準が発表され, 臨床の場でも利用されている。Awaji基準では, 針筋電図の異常は臨床上の下位運動ニューロン徴候と同等であり, 線維束自発電位 (fasciculation potential) は活動性脱神経電位と見なす, などの改訂がなされており, 診断率が向上することが期待されている。一方神経伝導検査は, ALSに特徴的なsplit handの確認や, 脱髄性ニューロパチーなどの治療可能な疾患の鑑別に有用である。また横隔神経伝導検査による複合筋電位の振幅は, 呼吸機能と相関する指標であると報告されている。上位運動ニューロン機能の評価には経頭蓋的磁気刺激法が用いられるが, 感度・特異度とも十分ではなく汎用には至っていない。
  • 国分 則人, 桑原 聡
    2013 年 41 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    Guillain-Barré症候群 (GBS) は脱髄型と軸索型に分類され, それぞれの病態生理は大きく異なることが解明されつつある。末梢神経伝導検査は末梢神経障害を直接的に証明し診断に寄与する最も重要な補助検査であり, 脱髄型および軸索型の分類に用いられている。脱髄型・軸索型の両亜型はともに, 神経終末部, 生理的絞扼部および神経根部に神経伝導障害が集中する傾向にあり, このことがそれぞれの病型に特徴的なパターンを作り出している。脱髄型GBSの電気生理学的所見としては神経終末部の脱髄を反映し, 遠位潜時の延長と複合筋活動電位の時間的分散が重要である。また「abnormal median and normal sural sensory response」は脱髄型GBSに特異度の高い病初期の所見として重要であり, 神経終末部の感覚神経伝導障害を反映していると考えられる。一方, 軸索型GBSは単純な軸索変性所見を呈するものと想定されてきた。しかし, 近年の神経生理学的研究からは, 病初期に「reversible conduction failure」と呼ばれる一過性の伝導遅延や伝導ブロックを神経終末部や生理的絞扼部に呈し得る病態であることが示されている。従って, 軸索型GBSの病初期には脱髄型の診断基準を満たしてしまうことがあり, こうした伝導障害が一過性であるかどうかを確認するためには, 複数回の神経伝導検査による経時的変化を観察することが重要である。各病型の電気生理所見のパターンとその経時変化を理解しておくことは, 診断のために大切であるばかりでなく, GBSの病態生理を解明していく上でも重要である。
  • 三澤 園子, 桑原 聡
    2013 年 41 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    慢性炎症性脱髄性多発神経炎 (CIDP)・多巣性運動ニューロパチー (MMN) は代表的な慢性経過をとる後天性免疫介在性脱髄性ニューロパチーである。両疾患とも治療可能であることから積極的に診断していくことが望ましく, そこで神経伝導検査の果たす役割は非常に大きい。脱髄性ニューロパチーの神経伝導検査は閾値の上昇などから最大上刺激を確実にする必要があり, 技術的に難易度が高い。特にMMNでは伝導ブロックが上腕や腕神経叢に限局することがあり, 検出が非常に困難な例も存在する。電気刺激による疼痛を最小限にとどめつつ的確な電気診断を行うためには, 確実な検査手技の実践と臨床症状に基づく検査計画の立案・解釈が必須である。典型的CIDPでは遠位部神経終末と神経根に病変が優位に生じるのに対し, MMNでは神経幹の中間部に多巣性病変が認められる。これらの脱髄病変の分布を理解しておくことは電気診断に有用であり, 逆に病変分布を予想しながら検査を進めることにより検出率を高めることができる。
  • 中村 友紀, 有村 由美子, 有村 公良
    2013 年 41 巻 2 号 p. 118-123
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    筋チャネル病は, 骨格筋細胞膜イオンチャネルの遺伝子異常によりミオトニアや周期性四肢麻痺を来す症候群である。分子遺伝学の進歩により, 表現型と遺伝子型との関係の多様性が明らかとなり, 臨床症状のみから異常チャネルを特定することが困難となってきた。現在のところ, 考えられる異常チャネル全ての遺伝子変異を検索するには膨大な費用と労力を要する。一方, チャネル異常は筋細胞膜興奮性変化を生じ, 各チャネル変異に特徴的な症状を呈する。それらの特徴的な症状に基づいた複数の運動負荷試験を組み合わせることで, 遺伝子変異検索前にあらかじめ異常チャネルを推定しようとする手法がある。遺伝子診断前の絞り込みあるいは筋細胞膜興奮性変化の客観的評価という点で, この一連の電気診断法は重要である。
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