臨床神経生理学
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特集「臨床に役立つ神経筋電気診断」
腕神経叢障害
園生 雅弘
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2013 年 41 巻 3 号 p. 157-163

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抄録
腕神経叢障害の評価にはその解剖の理解が不可欠であり, それを踏まえた臨床症候の詳細な検討が出発点となる。電気生理学的検査では感覚神経伝導検査の有用性が特に高く, 複数の神経を調べることで, C6~T1由来の腕神経叢成分についての局在診断が可能である。運動神経伝導検査ではC8/T1が評価できる。針筋電図検査は臨床症候以上の情報が期待できる場合に適応となる。頸部傍脊柱筋の針筋電図は, 頸椎頸髄疾患と腕神経叢疾患の鑑別に有用である。胸郭出口症候群 (TOS) では母指球萎縮を主徴とする稀なtrue neurogenic TOSだけが真の疾患概念として確立されており, T1優位の下神経幹障害が神経伝導検査で証明できる。その他放射線性・腫瘍性腕神経叢障害, 胸骨正中切開術後C8腕神経叢障害においても電気診断が有用である。神経痛性筋萎縮症では, 臨床的・電気生理学的に, 腕神経叢障害で説明困難な多発性単ニューロパチーの分布を証明することが診断に寄与する。
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© 2013 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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