臨床神経生理学
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原著
心拍変動からみた騒音環境下における音楽呈示効果
—異なる遮音特性のヘッドフォンでの検討—
高村 秀彰
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2015 年 43 巻 1 号 p. 14-21

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抄録

騒音環境下で遮音特性が異なる2種類のヘッドフォンを介して音楽を呈示した際の脈波を計測し, 騒音と音楽の競合によりもたらされるストレスについて心拍変動の面から検討した。健康な成人男女20名 (男性10名, 女性10名, 平均年齢23.2±3.6歳) を対象に, MRI計測時騒音の環境下で装着したヘッドフォンを介して協奏曲「四季」 (ビヴァルディ作) を呈示する条件の40秒間と呈示しない条件の40秒間からなるブロックデザインを3回反復している時の指尖脈波を計測した。それぞれのヘッドフォン装着時に関する内省報告では, ヘッドフォン遮音の程度により音楽の聞き取りやすさは異なり, それによって快・不快の評価も分かれた。さらに騒音環境下での音楽呈示に伴う心拍変動を検討した結果, ヘッドフォンによる騒音の遮音が不十分だとL/T値とCV-RR値は有意に減少し, 自律神経活動に変化が認められた。騒音環境下で音楽を呈示する際のヘッドフォンでの遮音の程度によっては自律神経活動も有意に影響を受けうることから, MRI計測時のヘッドフォンを介した音楽呈示の際に留意すべきであろう。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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