2018 年 46 巻 3 号 p. 119-123
発達障害の診断において, 客観的生理指標が必要である。本稿は非侵襲的生理機能検査として古くから用いられている事象関連電位 (ERP) について主に述べる。注意欠如・多動症 (ADHD) は, 抑制機能を示すNoGo電位, 持続的注意機能のP300, 自動的弁別機能のMismatch negativity (MMN), そしてエラーモニタリング機能を反映するError related negativity (ERN) などの異常が報告されている。自閉スペクトラム症 (ASD) では, 顔の構造認知である顔電位, 行動のモニタリング機能のobserved Feedback related negativity (FRN) が検討され, ASD児で特異的所見を認める。限局性学習症, 特に発達性読み書き障害では, Speech音に対する聴覚性MMNや, 文脈の意味的逸脱を示すN400が疾患特異的機能を表すERPとして報告され, バイオマーカーとしての臨床応用が期待される。