臨床神経生理学
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特集 「小児てんかんの発作時脳波記録における課題と工夫」
小児の発作時脳波 解析の工夫
—小児神経科医の立場から—
秋山 麻里
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2019 年 47 巻 2 号 p. 119-125

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抄録

てんかん焦点切除手術は, 難治てんかん患者において根治が期待できる治療法であり, 脳が発展途上にある小児では, 手術の機会を逃さないことが一層重要である。小児の発作時脳波の解析において, 乳幼児では焦点てんかんであっても成人と異なり発作症状が多彩かつ非定型的でわかりにくいこと, MRI上病変の局在が明らかであっても, 脳波上は全般性, 多焦点性の異常を示すことがあること, 脳の発達に応じて発作型・脳波所見が急速に変化しうることなどが注意点として挙げられる。また, 小児では, 指示に従うことが難しいため, 慢性頭蓋内電極留置がためらわれるが, 脳神経外科, 麻酔科との連携のもと, 鎮静下で成人例と同等の解析を行うことが可能であった。頭皮上脳波では焦点が不明瞭であった症例においても, 慢性頭蓋内脳波記録によりこれを正確に同定することも可能である。小児のてんかん外科症例の発作時脳波解析の実際を, 具体例を示しながら概説する。

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© 2019 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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