臨床神経生理学
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47 巻 , 2 号
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原著
  • 山田 良治, 平田 直子, 佐藤 洋, 緑川 晶, 篠浦 伸禎
    2019 年 47 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー

    脳腫瘍では覚醒下手術の有用性が認知されているが, 脊髄腫瘍での報告はない。当院で施行した覚醒下脊髄腫瘍摘出術の安全性と有用性を後方視的に検討した。症例1) 65歳女性, 胸髄上衣腫。症例2) 66歳女性, 馬尾髄膜腫。 症例3) 33歳男性, 頸胸髄上衣下腫, 2回施行。術中, 痛み, 運動・感覚障害, 耐容膀胱容量減少等の神経症状を認め, 操作の中断等により, 症例1, 2は全摘出, 症例3は, 部分摘出で終了した。全例目的とした神経機能の評価が可能であった。有害事象は, Grade 2, 3の疼痛と皮膚障害であった。脊髄腫瘍の術中神経機能モニタリングとしてはSEPやMEPが一般的であるが, 即時性や手術操作との干渉に問題がある。覚醒下手術にはそれらがなく, 本症例群でも操作中に速やかに症状の悪化を検知できた。有害事象は軽減可能であった。脊髄腫瘍の覚醒下摘出術は, 安全に目的を達成でき, 従来のIONMに比べ情報量が多く迅速で, 術中判断に有用であった。

  • —ヒト健常者における検討—
    下出 崇輝, 松岡 孝裕, 井上 哲雄, 太田 敏男
    2019 年 47 巻 2 号 p. 74-81
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー

    近年, 成人期Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD) の診断に役立つ神経生理学的指標の確立が期待されるなか, 病態仮説として有力視されているデフォルトモードネットワーク (以下, DMN) 障害仮説に注目し, DMNの抑制/活性化を要するワーキングメモリー (以下, WM) /自己参照 (以下, SR) 課題を遂行中の事象関連α帯域パワー値 (以下, ERpow) が, 両課題間で乖離するかを検討した。対象は右利き健常男性, 12名。性格を表す形容動詞を刺激に用いた。警告刺激 (S1) の2 s後に標的刺激 (S2) が呈示され, WM課題ではS2がS1と, SR課題ではS2が自身の性格と合致するかをそれぞれ判断し, 合致時に2 s後の命令刺激 (S3) を待ちボタンを押すよう被験者に求めた。SR課題中, α帯域ERpowはS3前1 sの区間で増大を示したが, この現象はWM課題中の同区間では観察されず両者の乖離は有意だった。この一過性のα帯域活動の増大は, 注意が内界に向け切り替わる際のDMNの活性化を反映している可能性があり, 注意の切換えが困難な成人期ADHDの診断に役立つ神経生理学的指標になりうると考えられた。

  • 福本 悠樹, 鈴木 俊明, 岩月 宏泰
    2019 年 47 巻 2 号 p. 82-92
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー

    運動練習後の運動イメージが運動の正確さと脊髄前角細胞の興奮性の関連性にどう影響するか検討した。健常者44名 (平均年齢20.8歳) を無作為に10秒間, 30秒間, 1分間, 2分間の練習時間群に振り分け比較した。安静のF波測定後, ピンチ力を50%MVCに調節する練習を与えた。練習後, ピンチ課題を与え, 規定値と実測値の誤差を算出した。運動イメージにてF波測定後, 再度ピンチ課題を与えた。イメージから安静の振幅F/M比と出現頻度を引いて振幅F/M比と出現頻度変化量を, イメージ後からイメージ前の誤差を引いて誤差変化量を算出した。誤差変化量と振幅F/M比変化量, 出現頻度変化量は, 30秒間・1分間の群で10秒間・2分間の群より減少した。運動イメージの実施が運動の正確さを向上させる場合は, 脊髄前角細胞の興奮性が増大するがその程度が過剰とはならない可能性が示唆された。

短報
  • 出村 彩郁, 谷口 美奈, 榎 一教, 岡部 勲, 木下 真幸子
    2019 年 47 巻 2 号 p. 93-97
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー

    臨床検査技師 (技師) の脳波検査実習において, 検査に必要な知識の習得度に関する自己評価チェックシートの有用性を検討する。対象は脳波分野を3日間研修した技師11名, 経験年数2.2±1.9年 (平均±SD) 。ベーシックコースでは68項目, レベルアップコースではこれらを含め98項目のチェック項目を設定した。研修前後に各項目を3段階 (A: 十分理解し, 一人で実施/判断できる, B: 知識は十分理解したが, 一人で実施/判断するには不安がある, C: 知識が十分習得できていない) で自己評価した。研修の満足度も調査した。結果, A評価の割合は研修前後で5.5±8.6%から47.9±23.8%に上昇した。研修の満足度は5段階中4.6±0.5であった。脳波検査実習にチェックシートを用いることにより, 研修者は自己の知識と習得度を確認でき, 指導者は漏れなくプランが立てられた。3日間の研修のみでは習得度が不十分であり, 制度の充実が望まれる。

特集 「小児てんかんの発作時脳波記録における課題と工夫」
  • 白石 秀明
    2019 年 47 巻 2 号 p. 98
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
  • —臨床検査技師の立場から—
    浅黄 優, 神 一敬, 植松 貢, 三木 俊, 中里 信和
    2019 年 47 巻 2 号 p. 99-104
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー

    長時間ビデオ脳波モニタリング (VEEG) は, 発作の記録を主目的に昼夜持続で脳波とビデオを同時記録する検査である。小児VEEGは成人VEEGとは異なり, 小児特有のさまざまな工夫が必要となる。患児の協力が得られにくい場合が多く, 電極装着は短時間で終わるように, 記録中は電極が外れないように注意しなければならない。また, 小児に多いスパズムや脱力発作の鑑別に, 筋電図の同時記録が必要である。さらに, よく動き回る患児に対しては, 乳幼児専用の柵付きベッドや低床ベッドを使用した安全対策が必須となる。VEEG中の患児は電極を装着した状態で過ごさなければならず, 身体的・精神的負担を伴う。そのためVEEGにより最大限の有用な結果が得られるよう, 検査技師は患児および家族の理解を得つつ, 小児科医と協力しながら質の高いデータの提供に努める必要がある。

  • —臨床検査技師の立場から—
    西村 光代, 直田 健太郎, 藤本 札尚, 岡西 徹, 榎 日出夫
    2019 年 47 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー

    てんかん外科術前に検討すべき項目は長時間ビデオ脳波モニタリング, 発作症候, 脳画像, 神経心理検査と多岐にわたる。とくに, 頭蓋内電極をどこに, どの範囲で留置するか。この判断は手術成績に大きく影響する。頭皮脳波で棘波を検出しても, 発作焦点は必ずしも直下の脳表とは限らない。棘波の形状や極性, さらに発作時脳波パターンを詳細に分析し, 焦点を脳深部に推定する場合もある。我々は「発作時3段階脳波」が大脳半球間裂焦点を示唆する特徴的な所見であることを明らかにした。また, 発作症候の解析ではビデオ画像を詳細に観察し, 機能局在を十分理解した上で総合的にてんかん焦点を推定する。まず, 頭皮脳波と発作症候学に基づいて焦点をあらかじめ推定した上で, 頭蓋内電極の留置部位を検討する。これらの業務において臨床検査技師は重要な責務を担っている。

  • —脳外科医の立場から—
    飯田 幸治, 香川 幸太, 石川 暢恒, 大坪 宏, 栗栖 薫
    2019 年 47 巻 2 号 p. 112-118
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー

    【目的】小児例に対する慢性頭蓋内脳波モニタリング (IVEEG) を安全に施行するための工夫を検討した。【対象】頭蓋内電極設置を要した5例 (年齢は各1, 3, 4, 9, 10歳) を対象とした。【結果】4歳以下の3例では術中の頭部固定時に小児用3点ピンに加えジェルパッドを補助として用いた。輸血は3例で施行し, 術後にみられた気管浮腫への対応など, 全身管理は小児神経科医と共同で行った。モニタリングの延べ日数は全例6日間以内であった。モニタリング中の安静保持のためには付添い (母親) の協力が不可欠であった。機能マッピングに協力が得られない幼児では, 術中のSEPや深部電極を利用したMEP (trains of five) を運動中枢や錐体路の同定に代用した。【結論】IVEEGを安全に施行するには, 術中での工夫の他に, 小児科医と共同での術後全身管理, 特に安静が保てない小児では付添いの協力が不可欠であり, 成人よりも短期間での記録の完了が求められる。また, 遂行性の乏しい機能マッピングにも工夫が必要である。

  • —小児神経科医の立場から—
    秋山 麻里
    2019 年 47 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー

    てんかん焦点切除手術は, 難治てんかん患者において根治が期待できる治療法であり, 脳が発展途上にある小児では, 手術の機会を逃さないことが一層重要である。小児の発作時脳波の解析において, 乳幼児では焦点てんかんであっても成人と異なり発作症状が多彩かつ非定型的でわかりにくいこと, MRI上病変の局在が明らかであっても, 脳波上は全般性, 多焦点性の異常を示すことがあること, 脳の発達に応じて発作型・脳波所見が急速に変化しうることなどが注意点として挙げられる。また, 小児では, 指示に従うことが難しいため, 慢性頭蓋内電極留置がためらわれるが, 脳神経外科, 麻酔科との連携のもと, 鎮静下で成人例と同等の解析を行うことが可能であった。頭皮上脳波では焦点が不明瞭であった症例においても, 慢性頭蓋内脳波記録によりこれを正確に同定することも可能である。小児のてんかん外科症例の発作時脳波解析の実際を, 具体例を示しながら概説する。

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