臨床神経生理学
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特集「睡眠に関連する異常運動・行動の臨床神経生理学」
小児における睡眠中のてんかん発作
白石 秀明
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2020 年 48 巻 1 号 p. 32-39

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抄録

睡眠関連性発作は, 小児期に生じるてんかん症候群では非常に多い。小児期に生じる素因性焦点性てんかん (旧特発性局在関連性てんかん) では, 睡眠関連性の発作症状を持つ。また逆説的な表現において, 小児期において, 睡眠関連性発作を示した場合は, 小児期に寛解するSelf limited なてんかん (旧良性てんかん) が想像できる。このようなてんかん症候群では, 特に, 睡眠期に, 特有の脳波所見を持ち, 発作症状の特徴と併せて, 診断確定が可能であり, 適切な治療計画が構築できる。一方, 小児における難治性てんかんの中でも, 睡眠に依存した発作が多く生じる。特に, Lennox–Gastaut症候群, 徐波睡眠時に持続性棘徐波を示すてんかん, Landau–Kleffner症候群においては, 睡眠時に特徴的な発作症状, 検査所見を示す。難治性の経過をたどる小児期のてんかん症候群では, 夜間発作が頻回に出現するため, 睡眠構築に異常を来すことが多い。また, 抗てんかん薬の使用や, 生活環境の問題において, 眠気が増した場合には覚醒時においても発作症状が増加し, 随伴して睡眠構築にも乱れが生じる。適切な治療のためには, 覚醒時の眠気を避け, 良い睡眠を得られるような睡眠構築の改善を図ることが重要である。小児期のてんかん症候群診断において, 睡眠に関連した, 発作症状, 脳波所見を始めとした検査所見を検討することは重要である。

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© 2020 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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