臨床神経生理学
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特集 「問題症例の脳波」
てんかん放電と6 Hz棘徐波の鑑別および臨床的判断に難渋した1例
原 恵子
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2020 年 48 巻 2 号 p. 82-86

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抄録

症例は22歳男性である。11歳時に強直発作で発症し, 脳波で3 Hz棘徐波複合を認めた。全般てんかんの診断で治療開始され, 14歳以降発作は消失した。20歳時に当院に転医し, この時の脳波で6 Hz棘徐波を認めた。抗てんかん薬を減量したところ初診時にみられた6 Hz棘徐波に比べて振幅が増大し, 分布や波形の変化した活動を認めた。抗てんかん薬減量後の波形について, 6 Hz棘徐波とてんかん放電との鑑別, および6 Hz棘徐波と判断した場合のてんかん発作との関連について, 判断に難渋したが, てんかん発作との関連が強くなった可能性を疑い, 抗てんかん薬の減量を中止した。6 Hz棘徐波とてんかん発作との関連の強さを, その特徴からわけようとする報告がある。6 Hz棘徐波の一部はてんかん放電とは区別するべきとされる一方, 約半数にてんかん発作を認めるとの報告があり, 臨床的判断には注意を要する。6 Hz棘徐波とてんかん発作との関連と合わせて報告する。

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© 2020 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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