2021 年 49 巻 3 号 p. 152-157
脳波検査は画像検査や血液・生化学検査などでは検出できない脳機能異常を検出できるため, てんかん, 睡眠障害, 意識障害の診断に威力を発揮する。動画を同時に記録できることで症候との関連をみることができるようになったことや, 長時間記録が可能となり短時間記録では抽出できなかった異常を検出できるようになったことは臨床的意義が大きい。デジタル技術とアンプの高性能化により, 高周波および低周波の脳波活動が記録できるようになり, 研究分野でも新たな知見が得られるようになってきた。長時間生体信号モニターとしての脳波, 脳波解析への機械学習の導入, 遠隔医療・教育ツールとしての試用など新たな研究領域への広がりもみせている。これら, 脳神経内科領域における脳波の臨床上の有用性と, 将来的に有望な研究のトピックスを提示する。