臨床神経生理学
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原著
定型発達成人における問題解決課題の遂行成績と前頭前部の脳血行動態からみた問題解決過程の検討
本間 美桃子中野 泰伺岡崎 慎治
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2021 年 49 巻 6 号 p. 459-468

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抄録

種々の実行機能は前頭前野内の異なる領域が担うとされるが, 推論を伴う問題解決課題遂行時における脳血流変化はこれまで検討されていない。このことをふまえ本研究では, 定型発達成人28名を対象とし, 全4ブロック計8題から構成される問題解決課題 (Crack-the-Code) の遂行を求めるとともに前頭前部よりNIRS計測を行った。その結果, 課題の難易度の上昇に伴い, 正答率の低下, 移動回数の増加, 反応時間及び所要時間, 評価時間の延長がみられた。脳血行動態では, 難易度が高いブロックで左DLPFC, 及びブロック内の課題後半で左右mPFCのoxy-Hb濃度変化量が有意に増加した。以上より, 難易度の上昇に伴い, 取り組みが試行錯誤的になることが遂行成績に反映されるとともに, 問題解決の処理全体に左DLPFCが関与することが示唆された。また, 複雑な問題解決では右mPFC領域を中心に前頭前野全体の処理への関与が示唆された。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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