2021 年 49 巻 6 号 p. 496-502
神経磁界計測は, 単純X線やMRI等の画像評価では得られない神経機能評価をおこなえる画期的な手法である。われわれが開発中の神経磁界計測装置は, 非常に感度の高い磁気センサを用いることで, 脊髄など体表から深い位置にある神経でも無侵襲かつ詳細に評価できる。下肢末梢神経刺激後の胸腰椎の神経磁界計測では, 複雑な走行の腰部神経根に沿って流れる電流や, 全胸髄内を伝導する電流など, これまで無侵襲では評価しえなかった神経電気活動も高い空間精度で可視化できるようになった。腰椎疾患患者においても電流強度の減衰や伝導ブロック等による神経伝導評価が可能となり, 新たな機能評価法として有用と考える。神経磁界計測は, これまでにない非侵襲的かつ高い空間精度をもつ神経機能評価法として, 胸腰椎疾患における責任高位診断や経時的評価など, 今後の幅広い臨床応用が期待される。