臨床神経生理学
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特集 「視覚誘発電位・磁界,聴覚誘発電位・磁界」
聴覚時間分解能の誘発脳波検査
門脇 誠一岡本 秀彦
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2022 年 50 巻 4 号 p. 143-147

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抄録

音声刺激において音圧は一定ではなく変化している。時間分解能とは音圧の包絡線の変化を検出する能力であり, 言葉の知覚において重要であると考えられている。時間分解能は一般的な聴力検査では測定しておらず, 現在主に使用されている検査法は, 広帯域雑音の中に無音を挿入し, どの程度の短さまで無音を知覚できるかを示すギャップ検出閾値 (gap detection threshold, GDT) を測定するGap-in-Noise testである。検査に応答できない乳幼児や, 集中力の続かない小児など, 自覚的検査では限界があり, 脳波を用いた時間分解能の他覚的検査が現在研究されている。ミスマッチ陰性反応 (MMN) や頭頂部緩反応, 聴性定常反応 (ASSR) 等の誘発脳波を利用した研究があり, 本報ではそれらの内容をまとめて報告する。現段階では, 広く臨床の場で使用するのはまだ難しく, 今後の研究の発展が期待されている。

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© 2022 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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