臨床神経生理学
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50 巻, 4 号
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特集 「視覚誘発電位・磁界,聴覚誘発電位・磁界」
  • 後藤 純信
    2022 年 50 巻 4 号 p. 131
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/08/02
    ジャーナル フリー
  • 森島 亮, 清水 俊夫
    2022 年 50 巻 4 号 p. 132-137
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/08/02
    ジャーナル フリー

    【目的】視神経脊髄炎や多発性硬化症でパターンリバーサルVEPを行うと, 時にP100で二峰性の陽性ピークが記録される。実臨床ではこれ以外の疾患でも二峰性P100が記録されることがあるが, その病態は不明である。【方法】2015年からの6年間に記録されたVEP連続417例 (脱髄疾患・視神経炎227例, Parkinson病 (Parkinson Disease: PD) 76例, その他114例) を後方視的に解析し, 二峰性P100について検討した。【結果】二峰性P100は64例で認められ, 39例は脱髄疾患・視神経炎, 12例がParkinson病であった。2つの陽性頂点のうち後方の頂点が正常範囲を超えて遅延する例は脱髄疾患・視神経炎では24/38例 (63.2%) であったのに対しPDでは3/12例 (25.0%) であり, PD群で有意に少なかった (p=0.04) 。【結論】炎症性・脱髄疾患で認められる二峰性P100と, その他の変性疾患でみられる二峰性P100は異なる機序によって出現している可能性が示唆された。

  • —音楽による影響と選択的注意—
    白倉 真之, 川瀬 哲明, 菅野 彰剛, 太田 淳, 中里 信和, 川島 隆太, 香取 幸夫
    2022 年 50 巻 4 号 p. 138-142
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/08/02
    ジャーナル フリー

    脳磁図を用いて測定できる聴性誘発脳磁界 (N1m) は, 約100 ms前後に生じ, 一次および二次聴覚皮質が起源となり, 聴覚心理現象に相関した変化を観察できることが利点である。聴覚的なマスキング現象には, 末梢性および中枢性の古典的なエネルギーマスキング以外の要素も存在し, より高次的な処理も行われている。音楽により誘発されるN1mを用いた検証では, 音の複雑さや訓練, 学習, 音楽経験によってN1mが増強される一方で, 音楽自体が別刺激由来のN1mを妨害 (非エネルギーマスキング) しうることも報告される。そのほか, N1mは音刺激に注意を向けると増強し, 別の音や視覚的な刺激に注意を向けると抑制されることも知られる。聴覚の選択的注意の定量化については, 聴覚注意課題を用いた報告もあるが, MEGを活用した例としては, 時間周波数解析を用いた報告も近年増えてきており, 選択的注意のさらなる知見が加わることが期待される。

  • 門脇 誠一, 岡本 秀彦
    2022 年 50 巻 4 号 p. 143-147
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/08/02
    ジャーナル フリー

    音声刺激において音圧は一定ではなく変化している。時間分解能とは音圧の包絡線の変化を検出する能力であり, 言葉の知覚において重要であると考えられている。時間分解能は一般的な聴力検査では測定しておらず, 現在主に使用されている検査法は, 広帯域雑音の中に無音を挿入し, どの程度の短さまで無音を知覚できるかを示すギャップ検出閾値 (gap detection threshold, GDT) を測定するGap-in-Noise testである。検査に応答できない乳幼児や, 集中力の続かない小児など, 自覚的検査では限界があり, 脳波を用いた時間分解能の他覚的検査が現在研究されている。ミスマッチ陰性反応 (MMN) や頭頂部緩反応, 聴性定常反応 (ASSR) 等の誘発脳波を利用した研究があり, 本報ではそれらの内容をまとめて報告する。現段階では, 広く臨床の場で使用するのはまだ難しく, 今後の研究の発展が期待されている。

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