2023 年 51 巻 2 号 p. 78-82
注意欠如・多動症は, 不注意, 多動性, 衝動性を中心症状とする神経発達症である。注意欠如・多動症の生物学的研究の中でも精神生理学的研究は重要な位置を占めるようになっている。我々の研究グループは, これまで事象関連電位の成分のP300とミスマッチ陰性電位に注目して研究を行い, 臨床にどのように応用していくかを検討してきた。現在, 小児期において注意欠如・多動症治療薬は4薬剤が使用可能となり, 安全に負担なく薬物治療を行うためには使用薬剤の選択基準の確立が求められており, 我々はP300による治療効果の反応予測の可能性を検討している。徐放性メチルフェニデートおよびアトモキセチンに対する反応予測の研究を提示し, P300を用いた注意欠如・多動症治療薬への反応予測の可能性について考察した。