抄録
本稿では, 脳波信号に混入する外的・内的要因による雑音を除去し, 以降の解析精度を向上させる手法のうち, 眼電図および経皮的耳介迷走神経刺激 (taVNS) による雑音の除去について説明した。眼電図雑音については, 独立成分分析の効果を高めるために, 帯域パワーと相関係数を組み合わせた新たな方法を提案した。被験者の脳波データを用いた実験では, 99%の確度で眼電図成分の除去に成功し, 脳波信号の品質向上が確認された。taVNS雑音についても, 独自のモデルを用いた除去手法として, taVNSに起因する雑音の起点と終点を特定し, 雑音をモデル化することで, 雑音を効果的に排除できることを紹介した。結果, taVNS中の脳波信号解析が可能となり, taVNSが脳皮質活動へ与える即時的影響の評価に寄与する可能性が示された。このように, 状況に応じた適切なアプローチにより, 雑音除去の精度と脳波信号解析の信頼性の向上が期待される。