2025 年 53 巻 1 号 p. 55-59
注意欠如・多動症 (attention-deficit/hyperactivity disorder: ADHD) は, 不注意, 多動性, 衝動性を中核とする神経発達症である。ADHDには脳の生物学的機能不全が存在するとされ, さまざまな視点で研究が行われている。我々の研究グループでは, これまで事象関連電位 (event-related potential: ERP) の成分であるP300とミスマッチ陰性電位に着目し研究を行ってきた。現在, 小児期において使用できるADHD治療薬は4剤が上市されており, 安全に負担なく薬物治療を行ううえで, いずれの薬剤が適切に使用できるのかの使用薬剤の選択基準の確立が求められている。そこで, 小児期ADHD児でみられる脳波やERPの定型発達児との違いから, 我々が進めているP300による治療効果の反応性への予測に関する研究について概説する。