日本臨床プロテオーム研究会要旨集
第1回日本臨床プロテオーム研究会
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研究発表
C型肝炎関連肝細胞癌のプロテオミクス
*藏滿 保宏高島 元成横山 雄一郎飯塚 徳男岡 正朗沖田 極坂井田 功中村 和行
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p. 16-

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抄録
我が国における年間の肝細胞癌(HCC)による死亡者数は3万人を超しており、約200万人のC型肝炎ウイルス(HCV)キャリアが存在していると予想されている。HCCによる死亡者の約8割がHCV感染に由来していると考えられ、我が国でHCC対策を考える際にはHCV感染との関係が重要となる。我々は、HCV感染者でHCCに罹患した患者の癌部組織と非癌部組織から蛋白を抽出して、二次元電気泳動と質量分析によプロテオーム解析を行った。ATP synthetase β chain、α-tubulin、glutamine synthetase、GRP75、GRP78、HSC71、HSP60、HSP70.1、phosphoglycerate mutase1、triosephosphate isomeraseの10種類の蛋白の発現が増強しており、aldolase、arginase 1、enoyl-CoA hydratase、ferritin light chain、ketohexokinase、serum albumin、smoothelin、tropomyosin βchainの8種類の蛋白の発現が減弱していた。さらに、新しいバイオマーカーの開発を目的として、HCC組織の蛋白に反応する自己抗体の検出を患者血清を用いたウェスタンブロッティングによって行った。陽性となったスポットのうち4スポットが癌部で増強しており、その中の3スポットは非担癌患者血清ではほとんど検出できなかった。これらを同定したところ、HSP70.1、 superoxide dismutase、 peroxiredoxinであった。HCC患者の血清中にこれらと反応する自己抗体の検出される頻度がそれぞれ7/15、6/15、5/15であったのに対してコントロールである非担癌患者血清ではそれぞれ1/5、0/5、1/5であった。
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