日本臨床プロテオーム研究会要旨集
第2回日本臨床プロテオーム研究会
セッションID: 12
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一般演題
ヒトレンズ上皮細胞系(HLEB-3)におけるデヒドロアスコルビン酸(DHA)による修飾蛋白のプロテオ−ム解析
*小谷 博子中西 豊文清水 章比企 能之杉山 敏VINCENT M MONNIER
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抄録
目的 アスコルビン酸酸化物によりレンズ上皮細胞の分子の障害が進むと、遂にはレンズの恒常性に影響を与える分子をも障害する可能性があることが報告されている。本研究の目的は、ヒトレンズ上皮細胞の培養モデルとして使われるHLEB-3細胞を用いてDHA刺激により細胞内に生じる可能性のある蛋白質の変性について、正常と比較しつつ同定することである。 方法 HLEB-3細胞の培養は7週から23週間行った。継代の若い細胞(P9)と古い細胞(P22)の2群について、各々1mM DHAを加えた系と加えない系(コントロール)を1週間、37℃、5%CO2下、インキュベートした。培養終了後、全細胞を手早く抽出し、引き続いて二次元電気泳動(2-DE), Western Blottingを施行し、各2-DE上のスポット蛋白をインゲル消化し、質量分析計にて分析し、蛋白を同定した。 結果 HLEB-3細胞の培養系において、継代の若い細胞(P9)と古い細胞(P22)におけるDHA刺激による蛋白修飾の影響をコントロール系と比較すると、継代が進んだ細胞(P22)系において、DHA刺激の有無にかかわらず、filament蛋白の発現の促進と、抗CMLモノクロ−ナル抗体に反応するfilament蛋白の発現の増加が観察された。更にP22群のDHA刺激系細胞由来の蛋白においてのみ、数スポットのβB2-crystallinの顕著な出現、Metの酸化(-enolase, vimentin, mutant -actin), Trpの酸化(calreticulin precursor), 脱アミド化(-enolase, vimentin),N-末端のcarbamylation(mutant -actin)が観察された。 結論 上皮細胞の老化は、anti-ascorbylationをbreakdownさせることが示唆された。
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© 2006 日本臨床プロテオーム研究会
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