腎移植時に行われるベースライン生検は重要であるが,0 hr生検と1 hr生検を検討した報告はない。両生検を後方視的に解析し,その意義について検討した。対象は2009年から2012年までの腎移植症例で0 hr生検と1 hr生検の両方を採取した43例である。両生検の病理診断と各Banffスコアの相違を比較した後に,1 hr生検の所見で術後経過の予測ができたかを検討した。臨床病理診断は0 hr生検では43例中27例(62.8%),1 hr生検では29例(67.4%)で組織学的に異常所見を認めなかった。急性尿細管傷害と診断されたものは0 hr生検で11例(25.6%)1 hr生検では9例(20.9%)であった。3例(7.0%)で持ち込みのIgA沈着症を認めた。また糖尿病ドナーの献腎移植の2例(4.7%)で持ち込みの糖尿病性変化の所見を認めた。0 hr生検と1 hr生検で診断に相違があったのは,0 hr生検で急性尿細管傷害と診断されたものが1 hr生検では異常所見を認めなかった2例であった。両生検のBanffスコアで2段階以上の差異はなかった。術後早期に急性抗体関連型拒絶反応を認めたものが3例あったが,1 hr生検では予期できなかった。1 hr生検での軽度のc4d沈着は術後経過に影響がなかった。本検討からは両生検に差異や優劣はなく,単一症例における両サンプルの採取の意義は明らかではない。