日本臨床腎移植学会雑誌
Online ISSN : 2760-1714
Print ISSN : 2187-9907
臨床研究報告
エベロリムスを用いた新しい免疫抑制療法の導入
大田 守仁土井 篤中房 祐樹羽田 圭佑城間 寛張 同輝小禄 雅人潮平 芳樹屋嘉部 生子
著者情報
ジャーナル 認証あり

2013 年 1 巻 2 号 p. 194-197

詳細
抄録

【緒言】カルシニューリン阻害剤(CNI)による慢性移植腎炎は腎機能の長期成績に影響を及ぼす。今回われわれはエベロリムス(EVR)を用いてCNIを最小限まで減量するレジメンを考案したので報告する。【対象と方法】プロトコール腎生検を施行し拒絶反応を認めなかった9症例に対してEVRを3~8ng/mLで用量調整し,タクロリムストラフを1.5~2ng/mL,シクロスポリントラフを25~50ng/mL目標に減量した。ミコフェノール酸モフェチルは1g/日,メチルプレドニゾロンを4mg/日で維持した。【結果】逸脱症例はなく拒絶反応やウイルス感染症も認めなかった。EVR導入3ヵ月後でタクロリムスは平均1.77ng/mL,シクロスポリンは平均72.5ng/mLとそれぞれ導入前より73%,63%減量できた。同時期の腎機能は,Cr 1.01mg/dL,eGFR 60.7mL/min/1.73m2と良好であった。血清コレステロール値に上昇を認めたが,尿蛋白は変わらなかった。【結論】当院の4剤併用レジメンは安全にEVRを導入できCNIも最小限まで減量可能であった。今後の長期移植腎機能が期待できる有用なレジメンであると思われる。

著者関連情報
© 一般社団法人日本臨床腎移植学会
前の記事 次の記事
feedback
Top