日本臨床腎移植学会雑誌
Online ISSN : 2760-1714
Print ISSN : 2187-9907
臨床研究報告
小児腎移植患者への薬剤管理指導に関する検討
磯貝 和也荒川 圭子外山 聡佐藤 博齋藤 和英中川 由紀杉山 健太郎高橋 公太
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2013 年 1 巻 2 号 p. 209-213

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抄録

腎移植患者において,患者自身が治療方針の決定に積極的に参加し,薬剤の必要性を十分に理解したうえで能動的かつ継続的に服薬すること,つまり服薬アドヒアランスを良好に保つことは,移植腎の生着に影響を及ぼす重要な因子である1)。カルシニューリンインヒビター(CNI)であるネオーラル,プログラフ,グラセプターは,1日の服用回数・剤形・粉砕可否などが製剤ごとに異なる。したがって,とくに小児患者では,服用継続困難とならないよう,最適な薬剤を選択する必要がある。新潟大学医歯学総合病院(当院)では,2008年4月より,薬剤師が腎移植医療への服薬支援に参画した。導入CNIの選択基準については,従来の医学的条件に加え,患児の服薬状況を考慮した薬学的条件も加味し,薬剤師と主治医が協議して決定するよう見直した。結果,2012年7月までに腎移植を実施した小児患者11症例において,移植後に有害事象などの医学的理由で他のCNIに変更した症例は,4例あったものの,服薬アドヒアランスで問題となる症例は,皆無であった。薬剤の選択にあたり,薬剤師は,医学的条件に加え,製剤的特徴も考慮の上,医師の処方設計を支援していくことが,服薬アドヒアランスの向上につながると考えられた。

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© 一般社団法人日本臨床腎移植学会
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