2013 年 1 巻 2 号 p. 214-216
【症例】69歳女性。2006年12月夫をドナーとしてABO不一致の生体腎移植を施行,以降外来にて経過観察されていた。2012年3月呼吸困難を主訴に前医を受診。発熱,心陰影拡大,低酸素血症を認め心不全の診断で同年4月当科へ転院となった。転院時著明な体重増加,浮腫および胸水の貯留を認め,心不全として加療をするも症状改善せず,胸水穿刺を施行した。胸水の性状より結核性胸膜炎を疑い喀痰培養を施行したが結核菌は検出されなかった。しかし胃液培養により結核の診断に至り,抗結核薬の内服加療を行った。抗結核薬内服開始して4ヵ月後胸水消失,軽快退院となった。診断および治療に苦慮した症例であり,文献的考察を加えて報告する。