2013 年 1 巻 2 号 p. 206-208
【研究目的】単孔式後腹膜鏡下移植用腎採取術の手術成績を従来法と比較検討する。【方法】対象は2012年5月より単孔式手術を施行した7例(女性5例,男性2例)。全例左腎を採取。体位は右側臥位。側腹部7cmの創にて後腹膜腔に至り(筋層はそれぞれ剥離),GelPOINTTMを装着。3ヶのポートを挿入し,その後の操作は従来法と同様。S字などの特殊な鉗子は使用していない。腎グラフトは7cmの創より直接摘出した。【結果】平均手術時間3時間17分,平均出血量75グラム,温阻血時間4.1分と,従来の後腹膜鏡視下手術とほぼ同様であった。膀胱側尿管と腎上極の剥離に若干の困難があった他は全例術中術後とも問題なく経過し,グラフト機能も良好であった。【結論】当術式は整容性に優れるのみならず,筋層を切開することがないためさらに低侵襲であり,従来法に精通した術者であれば容易に移行可能である。