日本臨床腎移植学会雑誌
Online ISSN : 2760-1714
Print ISSN : 2187-9907
症例報告
同一常染色体優性多発囊胞腎(ADPKD)ドナーからの献腎移植の経験
北島 和樹丸井 祐二相馬 大輝田中 希穂乳原 善文力石 辰也冨川 伸二
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キーワード: ADPKD, ドナー, 献腎移植
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2013 年 1 巻 2 号 p. 217-220

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抄録

【緒言】多発囊胞腎ドナーからの献腎移植に関する報告は少ない。同一常染色体優性多発囊胞腎(ADPKD)ドナーからの献腎移植2例を経験し,短期的な経過ではあるが良好な結果を得たので報告する。【症例】ドナーは40歳代男性。死因はクモ膜下出血であった。CT・腹部超音波検査にて両側腎に十数個ずつの囊胞が確認され,父親が多囊胞腎であったことから,ADPKDと考えられたが,腎機能は保たれていた(Cr:1.02mg/dL,UN:16mg/dL,Na:154mg/dL)。家族からの腎提供希望の提示を受けて,ADPKDドナーからの献腎移植症例に関する過去の文献を検討したところ,高い割合で生着していることが明らかになった。以上より,この男性からの腎提供は可能であると判断し,当院献腎レシピエント候補2名に対し,ドナー条件を説明し承諾を得た上で,心停止後左右両腎の提供となった。2名とも献腎移植後数日間血液透析を要したが,移植腎機能が発現した。移植後90日までの観察であるが,比較的良好な腎機能を認めている。【結語】ADPKDドナーからの献腎移植のほとんどで移植後にADPKDを原因とする不利益事象を認めていない。ADPKDドナーからの腎提供は妥当と考えられたが,今後長期にわたる経過観察が重要と考える。

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© 一般社団法人日本臨床腎移植学会
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