2013 年 1 巻 2 号 p. 221-223
当科では腎移植患者に発症した移植側の鼠径ヘルニアを5症例経験した。発症率4.9%,年齢は平均60.8歳,すべて男性であった。いずれも移植側に発症しており,修復には当科の鼠径ヘルニア標準術式であるメッシュプラグ法を主に用いた。手術時間は平均48.6分と通常の鼠径ヘルニアよりも10分程度長かった。腎移植後の鼠径ヘルニアでは移植尿管を損傷しない工夫をすべきであり,当科では腹膜前腔の剥離を最小限にとどめ,メッシュを浅めに挿入する,もしくはメッシュを切って高さを低くして使用した。いずれの症例も合併症,再発を認めておらず,メッシュプラグ法は安全に施行可能であった。腎移植後合併症としての鼠径ヘルニアは報告が少ないが,今後増加する可能性が高い。閉創時の不十分な横筋筋膜の修復が,発症の一因と考えられるため,閉創時には横筋筋膜の修復に十分注意する必要がある。