2013 年 1 巻 2 号 p. 227-231
48歳,女性。2009年父親をDonorとする生体腎移植術を施行した。術前Cross-matchは陰性であり,免疫抑制剤はTacrolimus,Mycophenolate mofetil,Prednisolone,Basiliximabを併用した。術中より利尿を認めたが,術後6病日より乏尿となり,血清Creが2.37から2.69へと上昇し,拒絶反応を疑い移植腎生検を行った。病理組織では糸球体,傍尿細管毛細血管への炎症細胞浸潤を認め,Antibody-mediated rejectionと診断された。またFlow cross-matchはclassⅡが22.9%と陽性化した。Steroid pulse療法と血漿交換を開始したが,強いアレルギーにより,血漿交換は中断せざるを得なかった。第9病日には播種性血管内凝固症候群も併発し,腹腔鏡補助下脾臓摘出術を施行した。脾臓摘出後,速やかに利尿を認め,第15病日(脾摘2日目)には血清Cre 1.78へと低下した。最終血清Creは1.08で移植後66日目に退院となった。