2025 年 13 巻 1 号 p. 35-43
腎移植におけるドナー特異的抗体(DSA)は,抗体関連型拒絶(ABMR)およびそれに伴う移植腎喪失につながる重大な障壁である。とくにクロスマッチ陽性症例では,腎移植後早期に重篤なABMRを引き起こすリスクが高く,これを克服するためにさまざまな試みが行われてきた。なかでも免疫グロブリン静注療法(IVIG)を用いた脱感作療法は,クロスマッチ陽性腎移植における重篤なABMRのリスクを低減し,移植成功率および短期的腎生着率の向上に大きく寄与してきた。一方で,脱感作抵抗例や難治性ABMRに起因する長期的腎生着率の低下は依然として大きな課題であり,ABMRの詳細な病態解明と新規治療法の開発が強く求められている。本稿では,クロスマッチ陽性腎移植に対するIVIGを用いた脱感作療法の現状,すなわちDSAの検出方法,IVIGの作用機序,脱感作プロトコールおよびその成績について概説し,今後の課題と展望について考察する。