2015 年 3 巻 1 号 p. 9-17
ニューモシスチス肺炎(PCP)は1980年代に入ってHIV感染症の世界的蔓延に伴ってその合併症として広く認識されるに至った。HIV-PCPについては,その診断,治療,予防法は確立し,制御されうる疾患となりつつある。しかし近年,さまざまな難治性病態に導入された新規免疫調節剤の合併症として本症がにわかに注目を浴びている。そのなかでも固形臓器移植後,また関節リウマチの新規治療薬としてのMTX,生物学的製剤投与などの下での本症の多発が診断,治療ともに困難で,重大な問題となっている。これら非HIV-PCPは,HIV-PCPとは同じ病原菌に由来するものでありながら病像が全く異なる。病態は少量の菌に対する宿主の激しい免疫反応であることが明らかにされており,治療においてステロイドの有効性が期待される。またST合剤のより合理的な投与量も再検討される機運にある。予防にも多々問題がある。サルファ剤による長期の予防内服は種々の困難を伴う。対象や期間の絞り込みが必要であるが,いまだ明らかな予知因子が見出されておらず,模索が続いている現状である。