2015 年 3 巻 2 号 p. 248-252
64歳の女性。夫に対する生体腎移植ドナー候補としての術前造影CTで,右腎上極腎門部に長径約2cmの蜂の巣状を呈する早期濃染像を認めた。腎動脈造影でcirsoid typeの動静脈奇形(AVM)と確定診断し,n-butyl-2-cyanoacrylateを塞栓物質に用いた経カテーテル動脈塞栓術(TAE)でAVMをほぼ消失させた。TAEから7ヵ月後に後腹膜鏡下ドナー腎摘術でこのTAE後AVM腎を生体腎移植に提供した。バックテーブルで灌流液漏出は認めず,腎表面からAVMの存在は確認できなかった。移植腎の血流再開後に突如として腎門部からの出血を認めたが,タコシールⓇ充填による圧迫で止血し得た。レノグラムで血流欠損を認めず,血清Crは1.10mg/dLまで低下し,造影CTで移植腎は梗塞領域なく良好に描出され,塞栓物質は集積を保っていた。腎AVMはレシピエント動脈から急激かつ大量・高圧に再灌流されると破綻するが,術前TAEはAVMからの出血を減らし,低侵襲のため腎機能を温存し移植腎としての使用を可能にする。