2016 年 4 巻 1 号 p. 118-121
生体腎移植におけるドナー・レシピエントの術前検査は,長期予後を考慮しつつ基礎疾患の検索などを含めて総合的に必要十分な評価をする必要があるが,偶発的に悪性腫瘍や感染症を指摘される症例が散見される。2016年4月までに当施設にて術前検査を開始した移植希望者のべ101組のうち,移植に不適とされた26組(25.7%)を対象とした。不適理由が悪性腫瘍の指摘であった症例を中心に,背景やその後の経過を検討した。26組のうち悪性腫瘍の指摘が10組(38.5%)であり最多の理由であった。この10組においてはドナーに指摘が7組,レシピエントに指摘が3組であった。ドナーに指摘の7組のうち3組は,別のドナーが名乗り出たり根治療法後に無再発期間を設けたりして移植に至っているが,レシピエントに指摘の3組はいずれも移植に至っていない。術前検査項目や検査法についても再考すべく,医療経済的な視点からの考察を含めて報告する。