日本臨床腎移植学会雑誌
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Print ISSN : 2187-9907
総説
末期腎不全患者におけるC型肝炎治療の最前線
熊田 卓豊田 秀徳多田 俊史
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2016 年 4 巻 2 号 p. 169-176

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抄録

C型肝炎ウイルス(HCV)に関連した肝臓病は透析を受けている末期腎不全患者の高い罹患率と死亡率の原因となっている。本邦では2007年に維持透析を受けている患者の9.84%でHCV抗体が陽性であったと報告されている。透析施設でのHCV陽性率は減少しているが,いまだ高い。HCVに関連した主な2つの合併症として,肝硬変・肝細胞癌などの肝に関連する疾患と心血管系などの肝に関連しない疾患がある。これらが透析を受けているHCV患者の高い死亡率に関連している。このため透析を受けているすべての患者が抗ウイルス療法の適応となる。HCV感染は透析を受けていない患者では血清ALT値の上昇を引き起こす。しかし,このマーカーは透析患者では基準値以下になる傾向があり診断的意義に乏しい。このため透析を受けているHCV感染患者には新しいマーカーが提案されている。2つの方法はaspartate aminotransferase to-platelet ratio index(APRI)とFibroscanTMで行うtransient elastography(TE)である。透析を受けているHCV感染患者は通常のインターフェロンもペグインターフェロンも同様の効果と安全性が証明されている。これらの単独療法のウイルスの駆除率(SVR)は30~40%である。しかしながらインフルエンザ様症状,全身倦怠感,食思不振などの著明な副作用が多くの患者で出現し中止を余儀なくされる。最近,経口DAAs(direct-acting antiviral drugs)としてdaclatasvir(DCV)とasunaprevir(ASV)が使用可能となり遺伝子型1BのHCV患者に高い抗ウイルス効果が報告されている。これらの薬剤は肝代謝で胆汁中に排出される。今回われわれは透析を受けているC型肝炎患者の12週のSVR(SVR12)と安全性について検討した。対象は透析を受けている28例と傾向スコア法で背景をマッチさせた腎障害のない56例である。SVR12は透析例では100%,非透析例では94.6%であった。目立った副作用も両群では認めなかった。ALT(alanine aminotransferase)の上昇はよく認められる副作用であるが,両群で同等であった。以上からDCVとASVの併用療法は透析を受けているC型肝炎に大変有効で,同程度の安全性を有していた。

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