2016 年 4 巻 2 号 p. 177-180
慢性腎不全に対し透析・移植に次ぐ次世代の治療法として腎臓再生医療の期待は高まってきている。しかし現状では臨床応用への道のりはまだまだ遠い。腎臓は精巧な立体構造を持っているからこそ機能を発揮できるため,幹細胞から“細胞”,“組織”の再生でなく立体構造をもった“臓器”の再生まで完成しなければ臨床応用できないのであろう。一見全く不可能と感じてしまうが,誰もがこの複雑で精巧な臓器を発生の過程で間違えることなく作り上げているという事実がある。究極の腎臓再生法とは,この発生の過程で遂行されるプログラムをすべて解き明かし,腎臓幹細胞にこのプログラムを与え一から腎臓を作り上げてしまうことであろう。もしくはプログラムのすべてを解き明かすのではなく,異種の胎仔に借りてしまうという発想もある。本総説では,上記コンセプトで腎臓再生に取り組む国内外の他施設の研究を紹介し,その問題点と可能性について概説する。