2017 年 5 巻 1 号 p. 54-57
ドナーは48歳男性,脳出血による脳死と診断された。脳死下での臓器提供があり,57歳女性のレシピエントに対し,ドナーの左腎をレシピエントの左腸骨窩に移植した。移植腎動静脈をレシピエントの外腸骨動静脈に吻合し血流再開したが,移植腎の色調が不良であったため,吻合部を切離し再灌流するも,移植腎動脈血栓があり灌流不良であった。可及的に血栓を除去し灌流するも不良であったため,腎静脈側より灌流し,腎動脈よりウロキナーゼを注入後,再度動静脈吻合を行い,血流再開後の腎の色調は良好となった。利尿が得られるまでに長期間を要したが,術後29日目に血液透析離脱,術後61日目に退院,退院時の血清クレアチニン値は1.67ng/mLであった。移植腎動脈血栓症は,グラフトロスに陥る大きな原因の1つであり,術中血流再開後に移植腎の血流が不良で,腎動脈血栓症が疑われる場合には,躊躇せず再灌流,再吻合を考えるべきであると思われる。