2017 年 5 巻 1 号 p. 9-17
【研究目的】移植後リンパ増殖性疾患(post-transplant lymphoproliferative disorder:PTLD)は移植後に発症する悪性腫瘍であり,患者の生命予後に影響を与える。しかし,その発症頻度はまれであることから,日本を含むアジア領域での報告は少ない。そこで今回われわれは,当科における腎移植後PTLDの過去の経験を報告する。【方法】1986年から2016年までの間に当施設と関連施設において腎移植を受けた2,020人を対象とし,そのなかでPTLDを発症した症例を対象とした。さらに,移植後から1年未満にPTLDを発症した群をearly-onset群,1年以降に発症した群をlate-onset群と,2群に分類した。2群それぞれの患者背景や予後に関し検討した。【結果】PTLDは16人(0.79%)に発症した。16人中,early-,late-onset群はそれぞれ3人(18.8%)13人(81.3%)であった。2000年以降,early-onset群の発症はなく,すべてlate-onsetであった。Late-onset群において,発症までの期間は中央値108.7ヵ月であった。PTLD群は非PTLD群(2,004人)と比較し,10年生存率は有意に短かった(74.5% vs. 95.4%,p<0.0001)。【結論】PTLDは腎移植後の生存率に影響を与える。またlate-onset PTLDの比率が高く,移植後,長期間経過後も発症しうる。そのため,長期にわたる経過観察が必要である。