計算機統計学
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論文
窓打ち切りされた観測データの交代再生イベントのモデルとパラメータの推定方法および推定量の比較
阿部 興鎌倉 稔成
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2018 年 31 巻 1 号 p. 1-15

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抄録

 再発事象のモデリングという観点から, 交代再生過程は多くの応用がある. 交代再生過程は 2 つの状態 0 と 1 が交互に表れる, 再生過程の一般化である. Rootzén & Zholud (2016) では交代再生過程の状態 0 の長さの分布のパラメータを推定する方法を提案した. 阿部・鎌倉 (2016) でも同様に, 交代再生過程が限定された「窓」から観測された場合の尤度関数を導出しパラメータ推定を可能にした. Rootzén & Zholud (2016) では, 窓の幅が小さいときは, 状態 0 の長さの分布と状態 1 の長さの分布を同時に推定したほうが良いと述べているが, 数値的な比較や理論的な考察はなされていない. そこで, 再生間隔がワイブル分布に従う場合と指数分布に従う場合について, これらの推定量の性質をシミュレーションを用いて明らかにする. また指数分布の場合については, 推定量の漸近分散を解析的に求める. 状態 0 の長さの分布と状態 1 の長さの分布が独立であっても, 両者を同時に推定するアプローチが, バイアス, 標準誤差で評価して, 優れた性質を持つことを明らかにする.

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© 2018 日本計算機統計学会
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