計算機統計学
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原著論文
教育的介入が避難所への注意反応に及ぼす影響と共感特性の関連性
岸田 文本井 碧藤 智亮尾方 義人綿貫 茂喜
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2024 年 37 巻 2 号 p. 99-112

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抄録
  避難所生活を想像させる教育的介入によって, 避難所への注意反応が変化するのかを検討した. 具体的には, タブレットを用いて避難所生活を想像させる条件と他者と対話しながら避難所生活を想像させる条件を実施し, その介入前後に避難所画像を呈示し, その際のP3a及びP3bを検討した. その結果, 「介入前」よりも「介入後」の方が有意に大きいP3a振幅が得られた. これは介入したことにより避難所画像が被験者にとって重要な刺激となり, 注意資源をより多く割り当てたためであると考えられる. さらに, 避難所に対する注意反応の個人差を検討するために, P3a及びP3bと共感特性との相関関係を調べた. その結果, 認知的共感性が高い人ほど他者と対話しながら避難所生活を想像させると, P3a振幅が大きくなることを示した. このことから, 共感性が高い人にとっては, 他者と対話しながら避難所生活を想像するという教育的介入は, 避難所への注意の誘因となることが示唆された.
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© 2024 日本計算機統計学会
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