計算機統計学
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37 巻, 2 号
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巻頭言
原著論文
  • 岸田 文, 本井 碧, 藤 智亮, 尾方 義人, 綿貫 茂喜
    2024 年37 巻2 号 p. 99-112
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/09
    ジャーナル フリー
      避難所生活を想像させる教育的介入によって, 避難所への注意反応が変化するのかを検討した. 具体的には, タブレットを用いて避難所生活を想像させる条件と他者と対話しながら避難所生活を想像させる条件を実施し, その介入前後に避難所画像を呈示し, その際のP3a及びP3bを検討した. その結果, 「介入前」よりも「介入後」の方が有意に大きいP3a振幅が得られた. これは介入したことにより避難所画像が被験者にとって重要な刺激となり, 注意資源をより多く割り当てたためであると考えられる. さらに, 避難所に対する注意反応の個人差を検討するために, P3a及びP3bと共感特性との相関関係を調べた. その結果, 認知的共感性が高い人ほど他者と対話しながら避難所生活を想像させると, P3a振幅が大きくなることを示した. このことから, 共感性が高い人にとっては, 他者と対話しながら避難所生活を想像するという教育的介入は, 避難所への注意の誘因となることが示唆された.
総合報告
  • 下川 敏雄
    2024 年37 巻2 号 p. 113-164
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/09
    ジャーナル フリー
      近年, 医療分野では, リアルワールド・データに代表されるビッグデータの利活用が注目されている. 本稿において焦点を当てる2治療間のアウトカムの差 (治療効果) を評価するとき, 最も有名な臨床研究デザインの一つが無作為化比較試験 (RCT) である. RCTでは, 平均治療効果が評価されるものの, すべての被験者が同一の治療効果が得られるとは限らない. そのため, 近年では, 共変量 (例:背景情報) で条件づけられた治療効果 (異質性治療効果) を推定するための治療効果モデルの研究が統計科学・機械学習の分野で積極的に研究されている.
      統計科学・機械学習の分野では, 重複している研究も多く, そのなかには, 同じ手法であるものの, 異なる用語で呼ばれているものが散見される. 本稿では, 治療効果モデルを体系的に整理するとともに, 各手法について概説した. また, 実際の臨床試験データへの応用を通じてその有用性と適用上の留意点について検討した.
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