日本繁殖生物学会 講演要旨集
第98回日本繁殖生物学会大会
セッションID: 143
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内分泌
顆粒層細胞CREB転写活性リズムのリアルタイム計測の開発と応用
*賀 培建藤本 康文山内 伸彦服部 眞彰
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抄録
【目的】ホルモン情報伝達を利用して、受容体結合、2nd-メッセンジャー生成、タンパク質リン酸化、および遺伝子発現量などがホルモン情報として定量化されている。さらに、生細胞においてホルモン情報が転写因子レベルで視覚的に計測できるならば、広範囲の応用が期待される。本研究では、顆粒層細胞においてcAMP制御領域活性(CREB)リズムのリアルタイム計測システムを確立し、さらにCREB活性に及ぼす卵子由来因子の影響について解析した。【方法】CRE制御領域を含むオリゴヌクレオチド(正鎖:AAAAAATGACGTCACCCCCC,逆鎖:GGGGGGTGACGTCATTTTTT)を作製し、3回タンデムに連結、5’側に制限酵素部位を付けて、pGL3-promoterベクター(Luc遺伝子を連結)に構築、細胞導入用のLucレポーターベクターを作製した。顆粒層細胞はブタ卵胞(直径3-6 mm)から単離し、2日間培養、CRE制御領域を含むベクターを導入した。培地交換を行いホルモン等(FSH, LH, forskolin, IGF-I, EGF, bFGF, TGFb2, TNFa)を添加して、クロノスで48 h CREB活性を連続的に計測した。また、顆粒層細胞と卵核胞期卵子と18 h共培養して同様にホルモン等による変化についても計測した。【結果】CREB活性の変化は3相に分かれ(急激な応答、減衰、不応)、顆粒層細胞におけるCREB活性を誘導する成長因子は、IGF-Iのみで他の因子は影響しなかった。FSH、LH、forskolinはCREB活性を急激に増加させたが、TGFb2、TNFaはそのCREB活性を30%減少させた。卵核胞期卵子との共培養では、CREB活性は明らかな減少を示した。したがって、顆粒層細胞のCREはFSH、LHが作用する制御配列である他に、この配列に影響する卵子由来の因子の存在が推測された。この計測システムは、新規の方法として転写レベルで未同定因子のシグナリング推定など広範な応用が期待できる。
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© 2005 日本繁殖生物学会
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